Steps

TERRADA ART AWARD 2021

Photo by Tatsuyuki Tayama

 仮設的な素材を用い、即興的に組み上げた階段で空間を埋め尽くし、様々なルートを空間内に設定する。階段は作り、分解し、また作り直すことができる機能を持ち、実際に登ることができる強度で制作されている。立体状の迷路のようになっている階段の上を歩くことで、空間を新たな視点から捉えることができる。

 階段は2013年より何度も手がけてきた私にとって重要なモチーフである。足を一歩あげるという単純な行為、そしてその足を受け止める台、支える柱、その組み合わせで空間を自由に探求していくことができる。本作品では、屋内屋外問わず、傾斜地や崩壊地も含めたどのような空間にも展開可能なシステムを目指している。

 階段作品を作る場合は、常に安全管理との葛藤が起こる。社会が安全を求めるのは当然であるが、その中でいかに無謀な目標を立てられるのか、リスクを受け止め未知の物事に挑戦できるのかが、その社会のスタンスを表す一つの試金石となる。

制作協力: 

dot architects

Atelier Tuareg

株式会社スタック

一般財団法人おおさか創造千島財団

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TERRADA ART AWARD 片岡真実賞 受賞

持田敦子は、都市景観の一部でもある工事現場の単管パイプと木材で、行き先の不確定な、いわば無用の螺旋階段をインスタレーションとして構成した。とりわけ3D曲げパイプによる構造は工業素材を立体作品へと転換させるための中心的役割を果たしている。彼女がこれまで既存の建築物に介入してきた仕事は、1970年代に家を切断したゴードン・マッタ=クラークを連想させるが、今回の寺田倉庫の空間では、周囲のコンクリート壁や配管などとも一体化し、収納された倉庫内で成長し続ける有機的な螺旋階段となった。芸術をオンラインで体験することの可能性と限界も見えてきたこの時期、空間に果敢に挑戦した持田の作品は、その不確実性や非生産性も含めて、今日的体験をもたらすだろう。

片岡真実/森美術館 館長、国際芸術祭「あいち2022」 芸術監督

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“…spiral staircases with temporary construction materials such as metal tubing, usually seen in the fencing of Tokyo’s buildings. The reusability and flexibility of these components allow the steps to change shapes, such that Mochida’s work appears to be extending in all directions. By definition, staircases are meant to support one’s ascent and descent in a space, but in Mochida’s installation, they encourage alternative routes, transforming their environments into a maze.”

New Currents: Atsuko Mochida by Pamela Wong 
April 13, 2022 Art Asia Pacific