象の鼻パーク、横浜 (2019)

2019

place:
Zou-no-hana Park, Zou-no-hana Terrace
Kanagawa prefecture, Japan

Photo:
(1-2) 427FOTO
(3-8) Hajime Kato

Steps

2019年

場所:
象の鼻パーク・象の鼻テラス、神奈川県

横浜、象の鼻パークの風景として馴染み深いプロムナードは、1986年に廃線となった国鉄山下臨港線跡を再整備して作られたものである。もともと貨物輸送のために設計されたこの大きな構造体は、港町としてのスケールと歴史を感じさせるランドマークのひとつとなっている。遊歩道として整備された今も、動線としてプロムナード上にあがれる場所は限られており、個人の活動のスケール感とは大きなギャップがある。そのプロムナードに対し、主に工事現場などで使用される架設足場で作られた階段を対比させる。階段は、人間の肉体の寸法を持つ装置である。プロムナードに対し架設階段のスケールを比較、逆転させ、都市のスケールを再定義する。

この作品の制作は、長年横浜を拠点としながら全国で足場施工や販売レンタル、ソリューション提供を行ってきた株式会社スタックと行った。安全を大きなモットーにしてきた同社と共に、作品に登る人、その周囲の人、また作業員として働く人も安全にプロジェクトを遂行できるよう、細心の注意と確かな技術で作り上げられている。
構造物の上部は、万が一のトラブルを未然に防ぐため、一般には解放されない。24時間監視員がいる体制のもと、1ユニット目まで登ることができる。公共空間における安全性とリスク、それに伴う制約と自由についての一つの葛藤の結果が可視化されている。

制作協力:abanba、株式会社スタック

ZOU-NO-HANA 10TH ANNIVERSARY
FUTURESCAPE PROJECT
1859年に横浜港が開港し、諸外国との活発な交易がスタートした「象の鼻地区」は、開港150周年記念事業により、2009年に市民のための広場「象の鼻パーク」に生まれ変わった。その中にアートスペースを兼ね備えたレストハウス(休憩所)として建てられたのが「象の鼻テラス」である。
2019年6月2日、象の鼻パーク・象の鼻テラスは10周年を迎える。記念事業である「フューチャースケープ・プロジェクト」は、この場所がさらに居心地よく快適な空間になることを目指し、アートにできることを模索する。1年後・10年後・100年後の未来の風景を想像して生まれた、ひとりひとりのクリエイティブなアイデアの形が象の鼻パークに現れる。